『顔に傷が残った労災補償の男女差に「違憲」判決』というニュースの報道内容を比較してみた

「顔に跡が残る傷を負った場合の労災補償の男女差」が違憲かどうかを争う裁判があり、京都地裁の判決は「労災補償の男女差は違憲」。ただし、どうやら裁判所は「社会通念上、容貌の後遺症で受ける影響に男女差がないとは言えない」と現状を認定している模様。
今回の場合、司法が「男女差がないとは言えない」と認めているところも非常に重要だと思うんだけど、この部分の伝え方が各社異なっていて面白い。いや、結構な問題だと思うんだけどね。この部分を全く伝えてないメディアもあるし。


というわけで、産経新聞毎日新聞朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞時事通信共同通信NHKニュースを比較してみた。

  • 産経:「著しい外見の障害についてだけ、男女の性別で大きな差が設けられていることは不合理」

(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100527/trl1005271522010-n1.htm)

  • 朝日:「明らかな根拠とはならない」「性別によって大きな差が出るとはいえない」

(http://www.asahi.com/national/update/0527/OSK201005270056.html)

  • NHKニュース:「外見に対する関心は一般的に女性の方が高いとはいえ、傷あとによって受ける精神的苦痛の大きさが男女によって違うとまでは言えない」

(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100527/t10014730031000.html)

  • 読売:「社会通念上は、容貌(ようぼう)の障害による影響に男女差があるとされ、等級の男女差に根拠がないとはいえない」

(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100527-OYT1T00807.htm)

  • 時事通信:「社会通念上、容貌の後遺症で受ける影響に男女差がないとは言えない」

(http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010052700699)

  • 日経:「男女の差異は顕著でない」

(http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E1808DE0E5E2E7E0E2E3E29180EAE2E2E2;m=96948D999D9C819A9B9C8D8D8D8D)

(http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010052701000514.html)

国勢調査の結果は実質的な差の根拠になり得るとは言えるものの、顕著なものとも言い難い」
「外見への関心の程度や性別が精神的苦痛の程度と強い相関関係にあるとまでは言えない」
「確かに男女差を前提とするような記述が見受けられるが、記述自体の合理的根拠は必ずしも明らかではない」
(http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010052701000689.html)

  • 毎日:「精神的苦痛や就労機会の制約、それに基づく損失補てんの必要性は女性の方が大きい」

(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100528ddm041040174000c.html)

産経は「男女差は違憲」という内容のみ。多くのメディアでは「男女差は顕著ではない」または「男女差がないとは言えない」という内容も伝えている。毎日は解説の中で、裁判所が積極的に男女差を認めたような記述をしている。

ちなみに、「強い相関関係にあるとまでは言えない」的な表現なんですが、法曹界的にはぶっちゃけ「相関関係は認められない」と同じ意味ですか?教えてエロイ人